

高瀬真紀は、この質問を何百回も聞いてきた。
答えはいつも同じだった。
「年齢とともに、そういうものですから。うまく付き合っていきましょう」
嘘ではない。教科書どおりだ。
ただ、患者はその答えを聞くと、たいてい黙る。そして次の予約を取らない。
「私は、なぜ続かないのかを一度も説明していませんでした」と高瀬医師は言う。
「診察は、診断と処方で終わります。渡した物を、その人がどんな気持ちで身につけるのか。その話をする時間は、どこの科の担当でもないんです」
誰かが隠していたわけではない。ただ、その話をする場所が、診察室になかった。
尿もれで勧められる物は、3つしかない。尿ケアパッド。夜用パッド。紙パンツ。
どれも、出たものを受けて閉じ込める。もれを止める物ではない。
大きい物に替えても同じ。2枚重ねても同じ。吸う量が増えるだけだ。
だから、買った日は安心する。そして、鏡を見た日にやめる。

これは、気のせいではない。実際に測られている。
2026年、アメリカの老年学の学術誌に研究が載った。平均63.4歳の男女680人が対象だ。
「吸水製品を使うことで得た自信は、年齢による差別に関するどの指標とも関連していなかった」[1]
つまり、こういうことだ。
製品を使って安心しても、「年寄り扱いされた」という感覚は1つも減っていなかった。
それどころか、使う回数が多い人ほど、強く感じていた(β=0.12)[1]。
別の研究では、女性160人がこう答えている[2]。
「においが周りに気づかれていないか不安で、恥ずかしい」
「家から遠くへは行かない。近くにトイレとパッドが要るから」
受けるところまでは、紙で足りている。足りていないのは、その先だ。(出典:The Gerontologist 2026[1]/Journal of Clinical Medicine 2024[2])
「医者の間では、こう言います。『パッドは治療ではありません』」
「私も、患者さんに言ったことがあります。正しいことを言ったつもりでした」
「でも、言われた側にとっては、正しいかどうかの話ではなかったはずです」
においは、体から出てくるのではない。
尿素をアンモニアに変える反応が、受けた物の中で進むから出てくる。
その反応を起こす酵素をウレアーゼという。人類が初めて結晶にした酵素で、1946年のノーベル化学賞になった[3]。

数字もある。
尿で濡れた吸収体では、アンモニアが6時間で200ppm、8時間で1,500ppmまで上がる[5]。
濡れたパッドが肌に触れて、15分。肌のpHは5.67から6.25へ動く[6]。65歳以上の女性30人で測った値だ。

「歳のせいなのは、もれることのほうです」と高瀬医師は言う。
「においも、肌が荒れることも、歳ではありません。受けた物の中で起きている反応です」
そして、もれること自体は、珍しくない。

50代で28.6%。60代で28.8%。4人に1人だ。
それなのに、医師にかかっている女性は2.5%しかいない。理由の上位に「歳のせいだと思う」が入る[4]。
「4人に1人が同じなんです。誰も言わないだけで」
ここからは、高瀬医師が「患者に話したことがない」と言う話だ。
環境省のガイドラインに、紙おむつの中身が書いてある[7]。
パルプ52%。樹脂28%。高分子吸収材20%。
合わせて48%は、紙ではない。


肌に当たる表面も、不織布の樹脂だ。裏側はポリエチレンの膜。
あの音も、あの厚みも、通気しないのも、全部ここから来ている。
「診察室で、こう言った人がいます」と高瀬医師は言う。
「先生、もれるのは、もういいんです。あれを身につけている自分が、嫌なんです」
「私はその日、返す言葉を持っていませんでした」
誰かが騙しているわけではない。紙で受けるという形が、もともと介護の現場から来ているだけだ。
高瀬医師も、吸水ショーツを勧めたことがある。
何人かは2週間でやめた。理由は、吸う力ではなかった。
干す場所だった。
「吸水の布が白くて、外側と色が違う物があります。ベランダに干すと、そこだけ目立つ」
「家族に見られて、そこで終わるんです。受ける力を試す前に」

数字のほうにも、落とし穴がある。
2024年、市販21製品を人の赤血球で測った研究が出た。吸水ショーツが実際に受けられたのは、平均2mLだった[8]。
「製品の表示容量は、我々の結果と食い違った。水や食塩水で試験しているためである」[8]
「ccの数字は、比べるための物になっていません」と高瀬医師は言う。
大きいパッドに替える。2枚重ねる。紙パンツにする。吸水ショーツを買う。
順番に試してきた物は、全部「もっと吸う」の一本道だ。
棚に並んでいるのは、吸う量の違う物ばかりで、受け方が違う物ではない。
最初に減るのは、人に会う予定だ。
次に減るのは、泊まりの外出。
最後に減るのは、「来月も誘われたら行こう」と思える自信だ。
一度だけ、想像してほしい。
出かける前に、かばんの替えを数える。足りるかどうかで、行き先を決める。
次に、替えられる個室と、捨てられるゴミ箱を先に調べるようになる。無い所は、最初から外す。
その次に、泊まりの誘いを断る。理由は毎回、本当のことではない言い方になる。
そして、「今年はもう、あの集まりはいいかな」と考えるところまで行く。
その前に必要なのは、もっと吸う物を買い足すことではない。

パッドは、貼った所しか受けない。紙パンツを重ねても、厚みが増えるだけだ。
どちらも、当たる面は広がっていない。
受ける場所を、紙から、はいている物そのものに移す。
「吸う量を増やすのをやめて、受ける面のほうを広げるんです」と高瀬医師は言う。
理由は、体のほうにある。
おしっこは、速いときで1秒に20〜30mL出る[9]。
紙のパッドは、もともと生理用品の設計だ。2026年の総説に、こう書いてある。
「生理用ナプキンは、失禁パッドほど高い吸収速度を必要としない。経血は数日かけて少しずつ出るのであって、一回ごとの事象として出るのではないから」[9]
そして、1mLもれるだけで、紙は25.4cm²濡れる[10]。名刺6枚ぶんだ。

「紙は、ホースの水をハンカチで受けているようなものです」
「ハンカチを厚くしても、当たる面は広がりません。広げるのは、受け皿のほうです」

高瀬医師が、この形にこだわる理由がある。
母の恵子さんは、医療者ではない。ふつうの主婦だった。
尿もれのことを、最後まで誰にも言わなかった。
娘が知ったのは、亡くなったあとだ。実家の引き出しを片づけていて、いちばん奥から紙パンツの袋が出てきた。
封は切ってあった。減っていたのは、1枚だけだった。

一度だけはいて、鏡を見て、脱いだ。そのまま、奥にしまった。
思い当たることが、いくつもあった。
旅行の誘いを「足が痛くて」と断っていたこと。足は、痛くなかった。
孫の運動会に行かなくなったこと。
「私は毎日、同じ悩みの人を診ていました」と高瀬医師は言う。
「それなのに、実の母のことは最後まで知らなかった。母は、私にも言えなかったんです」
そこで、下着づくりの職人と、泌尿器科の専門機関に声をかけた。三者で作ったのが、ここちドライだ。
「母には間に合いませんでした。それだけは、どうにもなりません」

やることは3つだけだ。
見た目は、ふつうの下着だ。XS〜4XLの8サイズ、クラシック・ベージュ・ブラックの3色。洗って繰り返し使う。
「介護用品の棚ではなく、下着の引き出しに入る物にしたかった」
「干してあっても、それと分からないこと。そこまで含めて形です」
洗濯ネットが無料 ── 5枚に1個、10枚に2個、15枚に3個。
全国送料無料 ── 条件なし。


1. 帰ったら、まず水ですすぐ。
2. 洗濯ネットに入れて、洗濯表示どおりに洗う。
3. 風通しのいい場所で自然乾燥。
4. 漂白剤と柔軟剤は使わない。
そして、高瀬医師はこう念を押す。
「1週目に変わるのは、体ではありません。持ち物のほうです」
「かばんの中の、替えのパッド。それを入れて持ち帰るための袋。あれが、要らなくなります」

【要確認】購入者ヒアリングの回答が集まるまで、この節は空のまま置いている。他社商品のレビューをうちの声として載せない。
高瀬医師は、勧めるときに必ず先にこう言う。
「1枚では、絶対に判断できません」
理由は単純だ。洗って乾かす間は、はけない。
「出かける日の数だけ、手元に要ります。足りなくなった日は、その日だけ紙に戻ることになる」
「そして、戻った日に、続ける理由のほうが消えるんです」
「だから、5枚で試さないでください。最初から15枚を手元に置くことです」

1日目:洗い方と干し方に慣れない。ここでやめる人がいちばん多い。
1週目:かばんの中身が減る。
2〜3週目:出かける前に、替えを数えなくなる。
1ヶ月:介護用品の棚の前で、立ち止まらなくなる。
それ以降:泊まりの誘いを、枚数で断らなくなる。
発売からの99注文では、5枚が76件だった。
ただ、5枚は毎日はく枚数ではない。洗って乾かす間の分が、そこに入っていないからだ。
「5枚で始めて、足りなくて買い足す。その間に一度、紙へ戻る。その一度が、いちばん危ない」
紙で受け続けると、1日いくらかかるのか。高瀬医師に計算してもらった。
| 項目 | 1日あたり | 1年あたり |
|---|---|---|
| 尿ケアパッド(1枚38.6円・1日3枚) | 115.8円 | 約4.2万円 |
| 夜用パッド(1枚146円・毎晩) | 146円 | 約5.3万円 |
| 合計 | 約262円 | 約9.6万円 |
1日に何枚使うかは人によって違う。上は、その枚数を置いたときの計算だ。
「全員がここまで使うわけではありません。ただ、これを10年続ける前提で勧めてきたのは、私です」

15枚セットは、メール登録後で27,890円。
1年で見れば、1日あたり約76円。紙の262円と比べると、1年で約6万8千円の差になる。
そして、次の年に同じ金額はかからない。
紙のほうは、来年も再来年も、同じ9.6万円が要る。
いま繰り返していること ── パッドと紙パンツを、足りなくなるたびに買い足す。
その先で失いやすいこと ── 人に会う予定。泊まりの外出。「来月も行こう」と思える自信。
ここちドライで選ぶこと ── 受ける場所を下着そのものに戻して、引き出しから出して、そのまま出かける。
| 5枚 | 10枚 | 15枚 | |
|---|---|---|---|
| 通常価格 | ¥29,890 | ¥39,890 | ¥49,890 |
| 今の価格 | ¥17,890 | ¥23,890 | ¥29,890 |
| メール登録後 | ¥15,890 | ¥21,890 | ¥27,890 |
| 1枚あたり | ¥3,178 | ¥2,189 | ¥1,859 |
| お得額 | ¥14,000 | ¥18,000 | ¥22,000 |
| 洗濯ネット | 1個 | 2個 | 3個 |
| 送料 | 無料 | 無料 | 無料 |
最初から15枚。1枚あたりが¥1,859まで下がる。通常価格との差も¥22,000でいちばん大きい。洗濯ネットも3個付く。
10枚は、毎日はいても回る枚数だ。5枚は、出かける日が週に2〜3日の人の枚数になる。
毎日はくつもりなら、5枚は足りない。
紙とパッドを4ヶ月買うお金で、15枚が手元に残る。そして、次の4ヶ月に、また同じ金額は要らない。
開発に協力した医師が商品を勧めることを、どう思うか。私たちはそう尋ねた。
「そう言われると思っていました」と高瀬医師は言った。
「介護用品の棚の物は、1枚いくらで置いてあります。続けて買わせる形になっている。ここちドライは、続けて買う物ではありません」
「私は、これで儲ける側にいません。20年、紙のほうを勧めてきた人間です」
「母には間に合いませんでした。それだけです」
「合うかどうかは、私が決めることではありません」
「洗濯が間に合わなかった日の、ご自身の気持ちが決めることです」
「1ヶ月あれば分かります。合わなければ、理由を言わずに返してください。全額戻ります」
紙で受ける以外の入口がある。私たちは、それを初めて医師の口から聞いた。
しかもそれは、20年その紙を勧めてきた側の医師だった。
吸う量を増やすのをやめて、受ける面のほうを広げる。方向は、測られている数字に沿っている。
介護用品の棚の前で立ち止まったことがあるなら、30日という判断の時間がある。
失うものは、洗濯が間に合わなかった日の分だけだ。
追伸。高瀬医師が取材の最後に言った言葉を、そのまま載せる。
「ここから先は、二つに一つです。
明日も棚の前で立ち止まって、買わずに帰る。来年も、再来年も。枚数は増えても、減ることはない。それが一つ目。
もう一つは、出かける日のぶんだけ手元に置いて、かばんから替えを出す。合わなければ30日以内に返す。失うのは、洗濯が間に合わなかった日の分だけです」
追伸2。紙とパッドを4ヶ月買うお金で、15枚が手元に残る。1日あたり約76円だ。高瀬医師が引き出しの袋を見つけた日に最初に言ったのは、「もっと早く作ればよかった」だった。
追伸3。ここちドライは kokochidry.shop でのみ販売されている。